用語解説 |
■ | α(最大応力係数)、β(最大たわみ係数) | |||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||
最大曲げ応力、最大たわみを求めるときの係数です。長辺と短辺の辺比(長辺/短辺)から求めます。 本プログラムでは下の表をもとに、区間内は比例計算して求めています。 四辺固定等分布荷重の場合
なお、面の形態によっては、四辺固定以外にも、四辺支持、二辺固定、二辺支持等の計算に用いる係数があり、面の形状が円板のときは、円周固定、円周支持という異なった係数があります。 角槽の場合は、隣り合った板材と溶接接合されることと、安全率を十分にみること、また鉄製アングルによる補強材は「支持」という形態ですが、槽の各辺全てを含め十分な強度で支持するということから、「四辺固定」で計算します。 当然、塩ビ製アングルや塩ビ製フラットバーの補強であれば溶接固定するので、「四辺固定」が理屈となります。 より安全をみたい場合は、「四辺支持」の各係数を用いることになります。 |
■ | 安全率 |
安全率(総合安全率)は以下の要因を加味した数式で計算されます。 総合安全率 = クリープ係数×溶接効率×安全係数
※これらにより、硬質塩化ビニルやポリプロピレン等のプラスチックタンクの場合、総合安全率を1/10から1/15前後としていただきたいものとなります。 |
■ | 応力規制 |
必要板厚などを求めるときの応力的な規制条件です。 規制値は、その材料の許容応力値とし、最大発生応力がその許容応力より小さくなるとして計算式を設定し、解を求めます。 許容応力値は物性値から算出するので使用温度によって変化する値で、場合によって許容引張応力と許容曲げ応力の2種類を使い分けます。 |
■ | 許容曲げ応力、許容引張応力 |
短期引張強さと総合安全率をもとに以下の式を用いて設定します。 許容引張応力 = 短期引張強さ × 総合安全率 許容曲げ応力 = 許容引張応力 × 1.5 ( = 短期引張強さ × 総合安全率 × 1.5 ) ※ヒシプレートの物性値として示すことのある曲げ試験は破壊試験ではなかったため、経験的に許容曲げ応力は許容引張応力の1.5倍として計算しています。 |
■ | たわみ規制 |
この規制値には正式な根拠がありませんが、一般的に目視で変形が認められはじめる大きさとして経験的な数値を用います。 計算上の(発生し得る)最大たわみ量がこの数値未満となるような理論式を設定し、解を求めます。 角槽(角タンク)の側板としては、短辺や支持間隔の長さをaとすると、通常(a/130)を使用します。 この規制値は必要(要求品質)に合わせ変更してもよい値ですが、目に見えての変形は、その変形を起こしている大きな負荷(応力)が存在しているわけであり、変形の支点となる接合部にその応力が集中しやすいことを考慮しなければなりません。 |
■ | 短期引張強さ | ||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||
ダンベル状の試験片を引張試験機で引き延ばして破壊したときの最大強度を用います。 プラスチック類は、引張の試験速度が速いほど破壊強度が高くなりますが、通常の引張試験の範囲での数値変化は振れの程度と考えることができます。 ※重要なことですが、衝撃はこの速度の考え方と比較して、かなり大きな負荷速度となりますので、衝撃に対して本計算は適用できません。 また、プラスチック類の物性値は温度により変化しますので、使用温度を十分に考慮しなければなりません。 ヒシプレート各品種の温度ごとの短期引張強さは、以下の数式(線形近似式)で求められます。 設計温度(最高使用温度)T℃における短期引張強さ=
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■ | 補強材の間隔 |
補強材(アングルなど)の配置は槽(タンク)の強度に大きく影響するので、適切な間隔でバランスよく配置する必要があります。 板厚を求める計算式には板厚(t cm)と補強間隔(=支持間隔、四角面での短辺長さ a cm)を含んでいますので、希望する板厚を決めてしまえば、aを求める式に変形してtを入力することによりおおよその支持間隔aは求めることができます。 しかし、本プログラムでは計算速度が速いためこのような求め方はせず、補強材の配置を試行錯誤で入力して都度計算結果を確認しながら設計することができるようにしています。 |
■ | 補強材幅による補正 |
角槽(角タンク)本体の板厚計算は、周囲が固定(または支持)されている面の、板のみで負荷を受けている部分のサイズの計算となります。 槽(タンク)の使用条件があまり過酷でなければ、補強材幅を考慮した再計算を実施してみるのもよいでしょう。 |
■ | ヒシプレートの製造方法 |
ポリ塩化ビニルやポリプロピレン製プレートの製造方法には、一般的に押出製法とカレンダー・プレス製法とがあります。
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■ | フラットバーの設計 |
断面係数 Zと断面二次モーメント Iのそれぞれから必要なフラットバーの断面形状を計算することができます。 これらの式は、変形において動かない(中立な)中立軸が“つば高さ”の中央となる長方形断面を持つ梁(はり)の考え方です。 |
■ | 品種の選択 |
樹脂材料は使用温度、使用目的などにより使い分ける必要があります。 また、製造方法によって板厚や寸法に制約が生じます。 |
■ | 補強材の選択 |
補強材は補強効果の最も高い金属材料(鉄製アングル)が基本となりますが、薬液に対する耐蝕性が必要なときは塩化ビニル製アングルを用います。ただし、金属ほどの剛性が得られないため、選択できるものがないときフラットバーとしたり、時には鉄製アングルで補強を行い、塩ビ樹脂材で覆ってしまう例もあります。(異種材料の組み合わせでは、温度変化に対する材料の伸縮差に注意が必要となります) |
■ | 許容曲げ応力からの必要板厚 | |||||||||||||||
平板の最大曲げ応力は次の数式から計算できます。 これより、必要板厚は次の数式で計算できます。 |
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■ | たわみ規制からの必要板厚 | ||||||||||||||||||
平板の最大たわみは次の数式から計算できます。 これより、必要板厚は次の数式で計算できます。 |
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■ | 弾性係数 | ||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||
塩ビの弾性係数は温度や負荷速度の影響を受けやすいため、許容曲げ応力算出時の短期引張強さと同様、温度に対しては各温度の弾性係数を用い、負荷速度に対しては安全率(補正値)でカバーします。
設計計算用の弾性係数は各温度の弾性係数に精度限界を考慮した補正係数を乗じたものを使用します。 設計弾性係数=各温度の弾性係数 × 精度限界補正値(0.85) 本プログラムでは下の表を元に、区間内は比例計算して求めています。 |
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ヒシプレートの設計弾性係数 |
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(単位 : MPa) | |||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||
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■ | 分布荷重(等分布荷重) |
槽(タンク)にかかる負荷とは水圧(液圧)ですが、側板の板厚を計算(強度計算)するときにこの水圧に耐える板厚を算出することになります。この水圧が計算に用いる「分布荷重」ということになるのですが、実際の水圧は槽(タンク)の底へ行くほど高くなる「等変化荷重」にて側面に圧力を与えています。 耐蝕材料等の文献を見ると、等変化する荷重の平均的な値として、底部から1/3の高さの部分の圧力を平均圧力と考え、「等分布荷重」としているものもありますが、本計算は安全側に考えています。 |
■ | 補強材の寸法と断面数値(等辺山形鋼) | |||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||
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■ | 補強材の寸法と断面数値(塩化ビニル樹脂製アングル) | ||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||
●ヒシアングル
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●ヒシアングルスーパー(耐衝撃グレード)
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